息子の一言に涙が止まらなくなる
70代のお母さんが息子の事で傷心したと来談者カウンセリングの問い合わせが入りました。
息子が小さい頃から虚弱体質であったため片時も気を許さず育てたと言う。
小さいことは発熱・ひきつけ・気管支炎・下痢が続き、病院通いが続いており、夜は夜泣きでゆっくり眠ったことがなかった。
小学校に入学するまで、緊張の連続の子育てをしていた。
お母さんは、子育てはとても大変なことではあったが母として子を思う気持は深まっていったと話す。
ある時、医師から「男の子は弱いからね」と言われたことで母として、ゼッタイに死なせてたまるか。と健康に関する食事・手当法とか体に良いといわれることを学び始めた。
来訪された際、お母さんは育児・子育ての苦心を一生懸命話された。
ある程度、話をすると気持が落ち着いてきたようなので、「どんなことで傷心したのですか」とお尋ねした。
すると、息子が結婚して子供もでき幸せな生活をしていたが、お互いの家が遠くあまり行き来もできなかったことに気を止めていることを話し始めた。
二児が生まれる時、早産になりそうなので息子が食事の世話をしたり・義理の母親にも来てもらい上の子の面倒を見てもらっていました。
1か月1回は、お母さんが自ら食料を背負って一週間分のおかずを作り息子の家に届けるなど、一家総出で生まれてくる二児の赤ちゃんの健康と母親の安全を願って手助けをしてきた。
いざ生まれて健康で体重も十分ある男の子が誕生して、ホッとしてみんなで喜んだとのこと。
そこまでは良かったのですが、どんな名前にを付けるのかなと気軽に息子に電話をした時のことです。
息子も落ち着かない日々で仕事とのはざまで何かと疲れていることは理解していたつもりではあったのですが、うれしさのあまり、
「どんな名前を付けたの」と尋ねたところ息子が突然大きな声で
「なんで おふくろに言わなければいけないんだよ!2人で決めたかことを言う必要もないだろう、今から市役所に行くところだよ」
といわれてしまったとのこと。
彼女の心は動揺して何も言えなくなってしまいました。
電話を切られて思わず涙が噴き出て、しばらく涙が洪水のようになり泣き明かしました。
今までに無かったことで自分自身も驚いてしまいました。
名前を聞いたことが息子夫婦に干渉したことだったのでしょうか?と困惑気味に話をされました。
どうしても自分の心に納得がいかなかったのです。
出産したばかりのお嫁さんに電話して事情を話したところ、
「おふくろに当たってしまった」と動揺していたと聞かされちょっと気持ちがおちつきましたが彼女の心は悲しいという思いがぬぐえないままでした。
カンセラーとしては息子さんの気持ちとお母さんの気持ちに共感しました。
息子さんも自分たちの家庭が他の人が入り落ち着かなかったと思う。子供の出産のために目いっぱい我慢していたのでしょう。
そこに実の母親の声を聞いて我慢の感情が切れてしまったのでしょう。
息子さんも言ってしまった後に心は辛かったと察します。
お母さんの悲しみもわかります。
今までわだかまりを持たずに話せる間柄と思っていたのに辛く当たられてしまったことに動揺が隠せないのでしょう。
息子さんとは心の距離など改めて考えることもないと思っていたのでしょう。
同じようなケースはほかでも見受けられます。
子離れは必ずやってくる
このような場合、子供の成長期で親子の距離を意図的にあけていくことで大きなショックを受けないようになります。
親子はいつかは別の人生を歩むのです。
それが健康的な生き方なのです。
血のつながった子供であっても年齢が過ぎれば距離感を持って接することが正しい付き合い方になるのです。
お母さんは、話を聞いてもらってよかったと自分で納得していました。
子離れのかなしさには涙があるのですねと言って帰りました。
カウンセリングが終了してからしばらくして彼女から電話がありました。
「私はこんな悲しいことがあっていいのかと初めは息子を恨みに思っていましたが こんな出来事が無ければいまだに小さい頃の母親の愛を振り回していたでしょう。」
「今は かなり距離がとれるようになり息子の家族の応援隊として見守り役になっています。」
とさわやかな声で話していました。
子供との距離の取り方が見えてきたのかなと感じました。
カンセラーからの一言
いつの日か息子さんも同じような思いをして子離れをしていくでしょう。
その時 老いた親の心もわかるようになるかもしれません。
守秘義務について
こちらに紹介している事例は承諾を得た後、個人が特定されない範囲内での記載となります。
心理カウンセリンラーには守秘義務がございます。
カウンセリングを通して知り得た情報を本人の許諾なく開示することはございません。