子育てに悩む母親
きっかけは赤ちゃんを夫に預けてカウンセリングを受けたいと急を要する問い合わせだった。
当日空きがあると伝えると空き時間に予約を入れて来談者カウンセリングを受けに来た。
親からも友人からも幸せな結婚をして一児の母になるなんて幸せだね〜。と言われているので自分の今の心境を話せないでいた。
暗い顔をしている。
どんなことが一番つらい事なのか。あまり深刻にならないようにそれとなく話してもらうと、
学生時代は希望する仕事に就くための資格試験に一生懸命勉強をして資格を取得し念願の仕事にもついて頑張ってきた。
夫とは別の会社であるが 理解し合える間柄なので、ある程度の交際をして結婚した。
すぐに子供が生まれたので喜んで誕生を迎えた。育児の大変さは今まで想像もしてなかったので大変なことが多い。
今は育児休暇中で育児に奮戦している。
夫は、長期出張がある仕事なので赤ちゃんと二人の生活はプレッシャーがある。
実家の母親は仕事をしているので、簡単に来てもらえないし育児のお願いは断られた。
こうなる事は考えてなかったので、じわじわと育児の不安が出てくるが友人にも話せないし結婚してない友人には聞きづらい。
育児休暇も3か月後には終わりになるが保育園は何とか決まった。
職場復帰した母親みんなが持つ感情
自分は結婚前の仕事が好きで子供を産んでからも職場復帰をしたら元の席に戻れると思っていた。
職場復帰すると上司が、子供を育てながらでは、今までの職種は無理と判断して責任の少ない所に配置換えしてくれていた。
上司は育児と両立出来るように配慮してくれたのだが、彼女としては同期に入った仲間から差がついてしまうと感じた。
いやだ・・・とてもショックだった。
夫にも憎らしい感情が湧いてしまった。
子供が生まれても夫の仕事には、何の影響もなくご機嫌で勤めているように見える。
なんで私ばっかり元の職種に戻れなかったり育児を全部、自分でやらなくてはいけないのか。
不平等だと考えてしまった。
其のことを夫に言ってもただ黙っているばかり・・・
色々と考えていたら赤ちゃんがかわいくなくなった。
この子がいるから仕事が出来なくなっている。
そう思うと、どんどん感情が子供から離れていき、そんな自分をどうすることもできなくなり泣き出してしまった。
彼女は自分と同じような人は他にいないのか、こんな自分をわかってもらえる人はいないか、と思いカウンセリングを受けることを思い立ち深夜にスマホからメール問い合わせをした。
彼女の話を聞くとその気持ちはすごくわかった。
しばらく彼女の心に寄り添っていた。
小さい時から目的を持ち自分の道をしっかり決めて勉強をして手にした仕事を簡単に変えられる虚しさは如何ばかりかと思う。
彼女の気持ちが落ち着いたので、子供を産み育てることは何よりも大切なことで、仕事とは別格なものと思う、と伝えた。
両親の一番大切なものを与えることで、子供はしっかり育っていくのです。
子供は親がいなければ安心して健康に育たない。
何も出来ない状態でこの世に生まれ全面的に親を頼りにするしかないのです。
ただミルクを与え・オムツを取り換えれば大きくなるものではないのです。
親の命を注いで育つのです。あなたの大切なものを分け与えましょう。
彼女は、育児の大切さを初めて知ったようで、大粒の涙を出して泣いていた。
子供の成長に待ったはかけられないし・やり直しもきかないのです。
仕事はいつかあなたが望んでいればチャンスがめぐってきます。
その時 再就職しても遅くないと思う。
友人と比べたりしないで、あなたはあなたでしっかりあなたに与えられた子育てを喜んでやることが大切だと思う。
この世の中で一番のやりがいのある尊いことと思います。
赤ちゃんの笑顔は、親にかけがえのない幸せを与えてくれます。
どんなに辛い時も子供の笑顔で救われることがたくさんあります。夫婦にとってのキューピットです。
彼女は、初めて子育ての大切なことに気付いてくれました。
心の整理がつきましたとニコニコして赤ちゃんの元へ帰っていきました。
母親ならば誰しもが一度は通る道だと思います。
あなただけではないのです。
少しのきっかけがあれば無償の愛で包まれるのです。
何回かのカウンセリングを行い、疲れた時や納得がいかない時に予約が入る。
しかし以前のような悲痛感はなくなってきている。
以前にはなかった母親としての強い気持ちが見えている。
いいお母さんになっているのを強く感じた。
子育てママへ私の想い
今の世の中は、受験のための教育は学校・予備校等で丁寧に教えています。
しかし出産後の生活の変化について丁寧に教えているところがないように思います。
スポット的にはあるのでしょうが出産・子育ては、今までの生活とのギャップも大きいし、自分一人の努力では解決できないことが多々あり、誰もがスムーズに乗り切れるようなものではないと思います。
昔のように親やおばあちゃんが身近にいたり、近所に気軽に相談できる人がいないように思います。
女性が仕事をもって社会に出て男性と平等に働くことは良いことですが子育てをしながらの生活をどう切り盛りしては夫婦が何回も真剣に話し合っていかないと簡単なことではありません。
夫婦間や子供に問題が起きてから考えるのでは遅すぎます。
夫婦にとって子育ては未知な世界に踏み込むことなので、お互いに小さい事柄から話し合いの習慣をもって子育を楽しみながら親も大きく成長して欲しいと思います。
個人主義が進み夫婦間でさえ話し合いが難しくなっているのは時代の流れなのかもしれません。
しかし解決策は必ずあるのです。
小さな、ほんの小さなことからスタートする気持ちを持ち続けることで環境は大きく変化するのです。
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