長女の進学についての悩み
ホームページを見た母親から連絡があった。
予約で埋まっているため2週間後でお願いできないかと申し訳ない返答をしたのだが、一刻も早く悩み訊いてもらいたいとのことだったので当日、時間をあけて対応することで了承をもらった。
2児の母親である彼女はご主人と子育てについての悩みを抱えていた。
ご主人はIt系のエンジニアで帰りも遅く、コロナ渦においてテレワーク中も自分の部屋にこもってほとんど出てこない。
彼女にはテレワークでお互いに話せる時間ができたことで話したいことが合った。
次女は現在、幼稚園に通っておりスクスクと育っている。長女の時に経験しているのでどうすればよいかわかっているので問題はないと話す。
話をしたいのは長女について。
長女は再来年、中学にあがる。
母親としては中高一貫の私立に入れてあげたいと思っている。
ご主人にそれとなく勧めてはいるのだが主人は公立の何がいけないんだ?と聞き入れてくれない。
母親は自分が私立の中高一貫教育で育っており、今でもその時の友達と交流が続いていることやそれが良かったと思っているのでお金はかかるが長女にも同じ道を進ませたいと考えていた。
ご主人は公立から私立高そしていわゆるエリート大学に入り、大手のシステム会社に就職している。
ご主人が言うには大学で結果が出せればいいので中学からたくさんのお金を払って私立に通わせるメリットが無いという。
たしかにそうかもしれない、と母親も一定の理解はしているのだがそれでも自分が経験してきた道でもあるし仲の良いママ友と話をすると中学受験を考えているママ友が半数以上いることもあり複雑な心境であった。
そんなうやむやとした気持ちを何とかしたいとカウンセリングを探していたという。
自分の家の近くではママ友に合ってしまう可能性があるので一駅以上のところにある心理カウンセリングを探していた。
調べるのが好きな性格でもあったのでネットで調べていると自分に合っていると思えるところが少なく調べる範囲を広げたところでとまり木が見つかったと言っていた。
「どうしてとまり木だったの?」
と彼女に訊いてみた。すると、
「同じ女性のカウンセラーが良かった。それと子育てを経験しているカウンセラーを探していた」
とのことだった。
私自身、2人の子供を育て上げた母親であるから子供の悩みはわかる。
特に進学については今までにもたくさんのカウンセリングを行ってきたので彼女のもやもやについても理解できた。
専業主婦が独りで抱え込んだ悩み
専業主婦はお金に関することについてご主人に意見を言いづらいと感じる人が共働き家族と比べて多い。
家庭の収入をご主人一人に依存しているからだ。
とくに子供が育ち盛りの場合、離婚したくても出来ない。
だから言いたくても強く言えないことがあるのは過去のカウンセリングから知っていた。
この母親は4カ月もの間、独りでなんとか解決しようと思案していた、彼女も専業主婦だった。
時間だけが経過してしまい焦る気持ちが強くなり、意を決して電話をかけてきたのだった。
私は静かに彼女が話したいこと、主張したいことを聞いていた。カウンセリングは話すことで自分の心を整理することが目的の1つでもある。
彼女が思っていること、この4カ月考えていたことを話すことで彼女のこころが自然に整理されてくる。
ある程度話し終えたところで1つだけ彼女に尋ねてみた。
「長女は進学についてどう思っているの?」
すると母親の顔が明るくなった。
「あの子はおかあさんと同じ学校に行ってみたいと言ってくれてる」
という。
それならばご主人、子供たち、母親で家族会議を開いたらどうだろうと伝えた。
一回だけの家族会議で結論を出すことはない。たくさんの時間を使うことで子供の心境にも変化があるだろうしご主人の考えもわかるだろう、もちろん母親の気持ちもである。
何が正解なのかは誰にもわからないし、正解というものがあるのかもわからない。
だから家族みんなで話し合う時間をすこしづつ持てばいいのではないかなと伝えた。
子育ては家族で楽しまなければ上手くいかない、そのためには夫婦間だけではなくみんなで話し合うのが良い。
彼女は最初すこし曇った顔をしていたが勇気を出して話してみると言っていた。
来談にきたときの悲壮感や思いつめたような感じが無くなっていたので安心した。
家族の時間が少なくなっているからこそ
家族のつながりが希薄になっているとは思いたくない。
個人で過ごす時間が増え夫婦間、家族間での話し合いの時間が少なくなっているのは時代の流れなのかもしれません。
それでも子育てが大きく変化してしまったとは私には思えない。
みんなで力を合わせて困難に立ち向かっていくのは昔も今も変わっていない。
みんなが忙しい中、自分の時間をなんとかねん出しようと思っているだろう。
でもそんなときだからこそ少しだけ家族で話し合いをする時間をもつことは大きな意味を持つのではないだろうか。
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